The diversity of Nagano Prefecture’s sake brought to life by water, rice, and the skill and senses of its people
水、米、そして人々の技術と感性が生み出す長野県の日本酒の多様性
Vol.0 :
標高3,000m級の山々に囲まれている長野県は、四季折々に変化を明瞭に感じることができます。特に冬は、南北に220kmと広がる地形から風土の違いがはっきりと現れます。日本有数の豪雪地帯である北部は深い雪で閉ざされるのに対し、中部や南部は、国内屈指の晴天率を誇るほど晴れ間が多く、平地の空気は乾燥し、放射冷却によって厳しく冷え込みます。そして、県土を隔てるように南北を走る日本アルプスをはじめとする山々に積もる雪はやがて雪解け水となり、麓の田畑を潤し、人々の暮らしを豊かに育みます。
こうした気候風土の特性を生かし育まれてきた長野県の日本酒。県内の酒蔵は現在78蔵あり、国内2位を誇ります。その名が全国に知られる酒蔵もありますが、丹念に酒造りを行う小さな酒蔵が多いのが特徴です。山々に隔たれた集落ごと風景が異なるように、そこで生き抜いてきた人々の知恵や習慣が伝統や食文化となり、気質を育んできたからこそ、今も多くの個性豊かな酒蔵が息づいているのです。
そんな長野県の日本酒に着目し、 “日本酒の伝道師”がフランスから来日しました。パリの中心部にレストランも備えた日本酒ショップ「La Maison du Sake」を構え、同国の日本酒普及を担う第一人者、Ly Youlin氏です。訪ねたのは、長野県の12の酒蔵。「酒造りに欠かせないものは『水・米・人』」と話す同氏が、特に注目したのが長野県の水の清冽さです。
「長野県の水には、森の中でマイナスイオンを浴びるような、体にすっと入ってくる旨みを感じる。きれいな水、丁寧に育てられた米、そして人々が手を取り合い、心を込めて造る日本酒の魅力は、口に含んだ瞬間に伝わる」こう語る彼の酒蔵縦断の旅は4泊5日、実に500km以上に及びました。
長野県の風土や造り手の想いに触れ、それぞれの地域に根ざした日本酒のポテンシャルと蔵元の魅力を発見する旅を2回にわけてご紹介。
Vol.1では豊富な積雪が豊富な北部を訪れた様子を、Vol.2では昼夜の寒暖差が激しい東部と中央部、そして中山道木曽エリアを訪れた様子をお伝えします。
Vol.1では豊富な積雪が豊富な北部を訪れた様子を、Vol.2では昼夜の寒暖差が激しい東部と中央部、そして中山道木曽エリアを訪れた様子をお伝えします。