An apple a day – Nagano’s APPLES
風土から生まれる多様性:長野県のりんご
長野県の魅力を語る時、「りんご」ほど、風土の魅力が凝縮されているものはありません。始まりは19世紀からと言われる長野県の「りんご」栽培ですが、20世紀中頃から始まる日本経済の発展と共に盛んになる日本のりんご農業と共に大きく成長してきたといえるでしょう。「りんご」は、食物繊維、ポリフェノール、フラボノイドが含まれるなど、栄養価の高い果物として知られています。長野県は日本で2番目に「りんご」の生産量が多い県。このことは女性の平均寿命日本一など、長野県民の長寿を支える一翼を担っていると言えるのかもしれません。
長野のテロワールが生む、格別な味わい
南北差が約212kmもある長野県。北から南までさまざまな地域でりんごが作られていますが、その栽培地の約8割は標高500m以上にあります。中央高地式気候の特徴である昼夜の寒暖差に加えて、山々の斜面、大蛇のごとく流れる千曲川や天竜川によって形成された水はけの良い河岸段丘などの特性を生かしタップリと太陽の日差しを浴び育つことで、長野県のりんごには、蜜とうまみをギュット蓄えます。生産者は、芽吹き前から収穫までの約10か月間、ひたむきに木々や風土と向き合い、その土地の良さや個性を生かし、そこから生まれる創造によって、個性豊かな新たな品種づくりを行って来ました。長野県産「りんご」の特徴は、その品種の多さ。夏まだ暑い8月から12月まで産地や品種をリレーしながら収穫は行われますが、その土地の特性を良く知り、また活かす術も良く知るからこそ、長野県は、他より長い期間、様々な「りんご」の味を楽しむことができるのでしょう。
身と土、二つにあらず
こうして受け継がれてきた系譜は、現在シードルづくりという新たな取り組みにもつながっています。地域や品種の多様性を生かしたシードルづくりは、長い年月、風土と向き合い、その土地の良さを生かし「りんご」の新たな品種を育んで来たのと同じように、「りんご」の個性を生かし、風土の新たな魅力をこれからも私たちに届けてくれると期待は膨みます。「一個のりんごは医者を遠ざける」とは、20世紀始めイギリスで生まれた有名なことわざですが、仏教にも「身土不二」の言葉があるように、人間の体と人間が暮らす土地は一体で、切っても切れない関係にあるということが、長野県の「りんご」づくりからは伝わって来るようです。