Cuisine that elevates your wellbeing – Kazuma Chikuda
食べて元気になれる料理 – 竹田和真
ナチュラルな内装やアットホームな雰囲気が心地よく、カジュアルながらも見た目も美しくおいしい料理で人気を集めるレストランがパリ5区にあります。地元でとれた新鮮な食材を使用したフランス料理をリーズナブルに提供するビストロノミー「narro(ナロ)」。率いるのは、長野県出身の竹田和真さんです。
竹田さんは北アルプスに抱かれた、日本有数の豪雪地帯である長野県白馬村で生まれ育ちました。地元の高校を卒業後、調理専門学校や数多くの高級レストランを展開するひらまつグループの様々なレストランで修行を積み、2015年に29歳で渡仏。コロナ渦で日本への帰国も検討していたころ、narroのオーナーと出会い、2020年9月に新規オープンした同店のシェフに就任しました。
「生まれ育った長野県白馬村は自然がすぐ隣にある環境でした。季節になると父や祖母が近くの山から採ってきたタケノコの味噌汁や山菜で作る佃煮などが食卓に並んでいましたね」
と竹田さん。自身も両親とともに山菜を採りに山に分け入ることもあったそうです。narroでは旬の野菜をふんだんに使用した、素材の味を生かしたオリジナリティ溢れるメニューの数々が提供されていますが、そんな自然の恵み享受した幼少期の経験も現在のルーツのひとつとなっているのでしょう。
と竹田さん。自身も両親とともに山菜を採りに山に分け入ることもあったそうです。narroでは旬の野菜をふんだんに使用した、素材の味を生かしたオリジナリティ溢れるメニューの数々が提供されていますが、そんな自然の恵み享受した幼少期の経験も現在のルーツのひとつとなっているのでしょう。
「食べて元気になれる料理」と定評のある竹田さんの料理は、素材はもちろん、料理の構成、ソースやお客様一人一人に対する提供量までこだわりで溢れています。新たな食材を求めて市場や生産者に会いに産地へ足を運ぶこともあるという竹田さん。素材を生かすために、料理は1つのお皿の上にメインがひとつ、食材も相性の良いもので多くても2種類しか使用しないなど、シンプルながらも鮮やかでナチュラルな盛り付けを意識するそうです。
「野菜の大きさも毎回違うので、少し崩れても綺麗に見える自然な盛り付けを。素材を無駄にせず、同じ1本のにんじんも、葉っぱはサラダ、茎はローストすると少し焦げて美味しいし、根っこはカリッとして食感のアクセントに、皮は粉にして見た目のアクセントにしたり。特に意識しているわけではないのですが、日本人や長野で生まれ育ったルーツから“もったいない精神”があるのだと思います」
長野県白馬村出身であることを自身のSNSに掲載するなど故郷への想いも深い竹田さん。「良い食材を使う感性は長野県で育ったと思います。実家の近くを流れる清冽な川や雄大な山々など、今まで見てきた風景から食べたものなどすべてが無意識のうちに盛り付けに反映されているのかもしれませんね」と話します。フランスでも近隣の森を訪れ、自ら採取した栗やイチジクの葉っぱを料理に使うこともあるそうです。
お客様や従業員に対する丁寧な心遣い、環境への配慮、料理への探究心と情熱。世界で年間約25億トンの食べ物が廃棄されるなど食品ロスが問題視される中、気取らず自然と「エシカル、エコ、ナチュラル」を実践する竹田さんが生み出す料理の数々は、今日もパリの人々の日常に彩りを添えています。
住所 : 72 rue du Cardinal Lemoine, 75005 Paris
TEL: 09 73 24 07 95