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Water, Rice, People – Nagano’s SAKE
長野県の水・米・人が育むSAKE
近年、世界中から注目を集める日本酒。海外では「SAKE」との愛称で親しまれる日本酒の人気が高まった要因の一つとして、2013年の「和食」のユネスコ世界無形文化遺産への登録があげられます。新鮮な魚や野菜、そして清冽で美しい水から作り出される繊細な味わいの和食とも相性がよい日本酒。鮮度の良い、コリっとした刺身を味わいつつ、日本酒をくいっと飲むうちに、ついつい箸が進んでしまう経験をした方も多いことでしょう。そんな日本酒造りに欠かせないのは、日本の水、米、そしてその技術を受け継ぐ人の存在です。
地域に根付く丁寧な酒造り
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古来は朝廷や神社への供物として作られていた日本酒。清酒を嗜む慣習が民衆にも広がり、現在の日本酒産業の素地が作られ始めたのは江戸時代になってからといわれています。南北に長く、森林が県土の約8割を占める長野県。人々が暮らす集落は山々に隔たれ、地域ごとに異なる気候や風土の上に食文化が育まれてきました。古来の供物や儀礼に始まり、暮らしに欠かすことのできなかった日本酒もそのひとつ。酒造りは、その地域の水やお米で行われ、今も、歴史と伝統を脈々と受け継ぎ、長野県の食文化を彩豊かにしています。現在、長野県内には、78もの酒蔵(国内2位)があり、各地に小規模な酒蔵が点在しているのも、山々に隔たれた地域の暮らしと共に歩んで来た長野県の酒蔵の特徴と言えるかもしれません。
秘密はアルプス山脈が生む雪解け水
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気候や風土が異なる地域ごと、その地に根付いた酒造りできたのは、豊かで清らかな水のおかげ。長野県の山々には、冬になると雪がずっしりと積もります。冬に積もり重なった雪は、春の暖かな日差しによって少しずつ解け始め、長い時間をかけ、大地を伝い地上に湧出。この豊富な湧水は、原料となる酒米の田んぼを潤し、仕込み水として使われます。また、湿度が低く、昼夜の寒暖差が大きい夏の気候は、酒米造りに最適な環境を生み出し、骨身に染みる厳しい冬の気候こそ、美味しい日本酒を醸すために必要な条件でもあるのです。
長野の「人」が育む日本酒のあり方に根
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かつては女人禁制といわれた酒蔵の伝統も変わりつつあり、長野県は、女性の杜氏数全国1位。また、昭和59年度生まれの長野県の酒蔵跡取り5人で結成した「59醸」(ゴクジョウ)など、より良い酒造りに情熱を傾ける若手によるさまざまな挑戦も行われており、切磋琢磨しながら技術を継承しています。それぞれが非常に個性的で面白く、多様性のある長野県の日本酒から今後益々目が離せません。
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