World’s most delicate condiment – WASABI
日本が誇る繊細な香辛料 – わさび
唐辛子や胡椒、生姜やマスタードなど、これらを使った辛い料理を食べることができるようになったのは、いつからでしょう。例えばお寿司など、子供用にわさびを使わずに作られることが多く、わさび入りのお寿司を食べられるようになることは大人の仲間入りの証。キュッと握られた酢飯に適度に脂が乗ったネタ、それらを爽やかにまとめ上げるわさび。時にはわさびの辛味から鼻がツーンとすることもありますが、一度この組み合わせの旨味を知ってしまったら、もうわさび抜きのお寿司には戻れません。
清流が育むわさび
わさびは、日本原産の植物で山間の冷たく清らかな渓流などに自生し、古くは薬用として使用されていたそう。江戸時代に入り、寿司文化が開花すると殺菌力の高い食材として重宝され、今では寿司や刺身など和食の薬味として欠かすことができない存在となったわさび。そんなわさび作りには、透過性の良い砂地のような土壌と、豊富で清らかな水が必要で、わさびの生産量全国1位を誇る北アルプスの麓に広がる安曇野市は、この2つの条件が高い次元で揃っています。この地域は、清らかな雪解け水が豊富に湧き、真夏でも15度を超えることはなく一年中安定した水温が保たれているそうです。明治時代後期から始まり徐々に盛んになったといわれる安曇野地域のわさび栽培。現在、安曇野に広がるわさび田の風景は、長い年月をかけ築き上げられたものなのです。
余すことなく、いただく
わさびの産地・安曇野では、実に様々な方法でわさびが食されています。中でもわさび飯は、産地ならではのごちそうです。その食べ方は至ってシンプルで、ほかほかの白米におろしたてのわさびと鰹節、醤油をかけるというもの。おろしたてのわさびはふわふわで、辛味の中に感じられるスッキリ爽やかな後味がやみつきとなり、ついつい箸が進んでしまうことでしょう。そのほか、醤油漬けや天ぷらなど、わさびの茎、葉、花を使ったレシピも多数存在し、余すことなくわさびを楽しむことができます。
奥深いわさびの魅力
近年の和食ブームもあって世界から注目を集めるわさび。例えば、食のオリンピックとも形容されるフランス料理の国際大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」では、日本代表のみならず、他の国でも料理にわさびを取り入れていたそう。さらにはチョコレートなどのスイーツにわさびを取り入れるなど新たな食べ方が探求されています。わさびは、火を通しすぎると風味が飛んでしまうため、いかにわさび の特質を残しつつ、他の食材との相乗効果を生み出すかが鍵。わさびの楽しみ方は和食の域を超 えつつありますが、わさびとともに、その風味や香りの爽やかさや時にツーンと鼻を刺激する辛みを楽しむ心も、日本の食文化の魅力のひとつとして共に広がっていって欲しいものです。