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更新日:2026年1月23日

先日、イタリア・ミラノにある日本をコンセプトとした複合施設「TENOHA MILANO」にて、長野県産の日本酒テイスティング会が開催されました。年々、海外での知名度が高まりつつある日本酒。とはいうものの、イタリアを始めワイン造りが盛んなヨーロッパの国々で、「今夜は日本酒を飲もうか」というシチュエーションになることは決して多くはありません。そこで「まずは日本酒を実際に飲んでみよう」ということになり、今回のテイスティング会を開催。このイベントには、長野県の酒蔵から5種類のお酒が用意されました。それでは、今回試飲された長野県の地酒を紹介していきます。

松尾 斑尾(まつお まだらお)
長野県の北部、飯綱山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山と山々に囲まれた雪深い信濃町で造られているお酒。「松尾 斑尾」は、斑尾山の麓で育った長野県オリジナル品種の酒米・山恵錦(さんけいにしき)から造られた純米吟醸です。果実のような瑞々しい香りとキレのあるドライな味わいが人気を集め、「肉料理に添えて食べたい」という声が挙がりました。

Beau Michelle
長野県の東部、八ヶ岳、浅間山を望み、千曲川上流域に位置し、厳寒の地として知られる佐久平で造られており、ビートルズの名曲『Michelle』(ミッシェル;1965)を子守唄がわりに聴かせ醸造しているというお酒で、ワインのようにスタイリッシュなデザインパッケージが印象的です。通常イメージする日本酒とは異なるしっかりとした甘味が強い味わいは驚きを呼び、ワインのような感覚で飲める親近感から「イタリア人に非常に好まれるお酒だ」と喜んでいただきました。

つきよしの
長野県の東部、独鈷山、夫婦岳から扇状に開ける地、塩田平で造られているお酒。昔は、女人禁制というしきたりがあった日本酒造りの世界ですが、「つきよしの」は、女性の蔵元杜氏によって造られる日本酒。近年、そのしきたりは変わりつつあり、長野県は日本酒造りにおいても女性がめざましい活躍をしています。繊細なラベルデザインと対照的に力強い味わいのつきよしのは辛味と甘みのバランスが絶妙であり、焼き魚や刺身など魚料理と一緒にいただきたいお酒だと感じた方が多くいらっしゃいました。

枡一酒造 スクエアワン
長野県の北東に位置する小布施町で造られているお酒。四方を山と川で囲まれまれ水はけの良い扇状地にあるこの地は、果樹の町としても知られています。江戸時代、千曲川の舟運にも恵まれたこの地は、絵師、葛飾北斎が晩年に創作活動を行うなど独特の文化が培われてきました。このお酒も真っ白なボトルに黒い記号のような模様で、一見何の飲み物か分からないくらいシンプルで独特なパッケージングデザインが印象的。「枡Square」「一 One」という名称を記号で表したユニークなボトルデザインから、真摯に酒造りに取り組んできた思いが伝わってくるようです。

吉田屋治助「The Black Series」
長野県の東部にある佐久平は、山々に囲まれた盆地で、浅間山系、八ヶ岳系、蓼科山系、千曲川系と水源に恵まれた地。その真っ黒な佇まいは、ウィスキーのようにシックで重厚感のある雰囲気を醸し出しています。まるで、ハードボイルド小説の主人公に似合うようなボトルのデザインが印象的なお酒です。りんごのように瑞々しい口当たりの純米大吟醸でスッキリとした味わいが特徴的な「The Black Series」は、力強い印象を残しました。
さて、TENOHA MILANO で開催された長野県産の日本酒テイスティング会ではどのような感想が聞かれたのでしょうか。テイスティング会に集まったのは、日本酒に興味を持つイタリア人の方々。「芳醇、それでいて強すぎず、繊細な味」というのが5種類の日本酒を味わった彼らの感想でした。また、今回のティスティング会では、純粋にお酒だけを味わったため、刺身やプロシュート、カルパッチョなどの生の肉・魚と一緒に味わいたいという声も聞かれました。以前取材したYoulin氏の「日本酒は、食事と共にある」という言葉がストンと腑に落ちるのを感じると共に、イタリアンとの相性も良さそうな長野県のお酒に対する興味を一層沸き立たせました。これらの日本酒の多くはまだ海外進出を果たしていないが、日本食に限らず様々なイタリアンメニューとペアリングして楽しむことができたら、と期待は高まるばかりです。

